このサイトで紹介したい性格類型論に共通する知識として、 心理的な傾向と基本要素となる「8つの心理機能」について、簡単に説明致します。
内向と外向
人の特徴を述べるときに、「内向的な人」とか、「外向的な人」などという言葉を日常的に使っているかもしれません。
ここでは、内向(Introversion)と外向(Extraversion)を、
外向(E) <—> 内向(I)
のように、対極となる要素と考えます。
感覚と直観
私たちは、いつも、「情報を受け取り、判断し、意思決定をする」を繰り返していますよね。
情報受容(Perception)には、感覚(Sensing)と直観(iNtuition)の二つの傾向を、
感覚(S) <—> 直観(N)
のように対極となる要素と考えます。
思考と感情
判断(Judgement)には、思考(Thinking)と感情(Feeling)の二つの傾向を、
思考(T) <—> 感情(F)
のように対極となる要素として考えます。
対極であると同時に相補う関係
「思考と感情が逆のものであるだなんて、あまりにも簡単に割りきったものだな。」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
実際に個人は、内向と外向、感覚と直観、思考と感情の両方の要素を持ち合わせています。 例えば、ときと場合によって、内向的に自分の心の働きに注意を向けたり、外向的に振る舞ったりするわけです。
しかし、対極として考える特徴を両方同時に満たすというのは、なかなか難しいものです。 そして、長い時間で見たときに、どちらの傾向が強いのかと考えると、どちらかに偏っていることがよくあります。
タイプ論では、どちらが優先されるか、どちらを好んでいるか、ということが性格の違いを決めると考えます。
内向と外向、感覚と直観、思考と感情は、 どちらか一方だけで成立するのではなく、補い支え合う関係にあります。 つまり、一方の働きは、もう一方の働きを必要とします。
一方への偏りは、長所となると同時に、短所にもなり得ます。
長所を長所として発揮できているうちは、そのまま継続することが望ましいですが、 心理傾向の偏りによる認識の歪みによって弊害を受け、失敗することが多くなると、見なおす必要が出てきます。
8つの心理機能
感覚、直観、思考、感情の4つの傾向について、内向と外向の2つの方向(orientation)を考え、以下のように区別します。
内向感情 Introverted Feeling, Fi
外向感情 Extraverted Feeling, Fe
内向思考 Introverted Thinking, Ti
外向思考 Extraverted Thinking, Te
内向感覚 Introverted Sensing, Si
外向感覚 Extraverted Sensing, Se
内向直観 Introverted Intuition, Ni
外向直観 Extraverted Intuition, Ne
これらの心理機能がどのような順番になるか、どのような影響を持つかということを考えることで、 タイプを定義したり、各タイプの特徴を記述することになります。
8つの心理機能の定義は、タイプ論ごとに異なった定義をしていることがあるので、 ここでは共通した根本的なことだけを述べておきます。
外向的感覚/Se
周囲における物質・物理的現実への知覚
その時、その場での五感から得ることのできる情報をより細かく把握
直に観察したり、触れるができるもの、そして、それによって起こる変化に意識が向く
内向的感覚/Si
個人的な知識を通してみた物質・物理的現実への知覚
記憶 経験から得た事実 体内感覚
過去の事実や蓄積された経験と、手元にある情報を比較する
外向的直観/Ne
外界・周囲の状況から推測される仮説や仮想現実への知覚
アイデア 多くの可能性
関係性やパターンの観念的な認識
内向的直観/Ni
個人的な印象から推測される仮説への知覚
予見 展望
関連するものを一つのイメージにまとめあげる
外的的感情/Fe
周囲の人々の感情や文化的規範に基づいた判断・評価
適切な人間関係の評価
他者に配慮して社会的な結び付きを形成する
内向的感情/Fi
個人的に自然な感情や自他への影響に基づいた判断・評価
重要性の価値評価 誰が何を望むか熟考する
外向的思考/Te
外界・周囲の状況や文化的規範における正誤や仕組みの正しさに基づいた判断・評価
効率的組織化
内向的思考/Ti
個人的に自然な正誤や仕組みの正しさに基づいた判断・評価
理論的枠組みや原理に照らしあわせた分析
16種類の性格タイプ
さて、ここでユングは、「 個人は8つの心理機能のうちどれかを最も発達させ、それと内向-外向、知覚-判断のバランスを取るように、 第二の心理機能が発達する。 そして、その他の心理機能は、第一と第二のものと逆の性質を持つものであるから発達が遅延する 」と考えました。
※心理機能の分類↓
この時点で、16種類の性格分類について考えることができたはずです。
第一の心理機能が外向的判断で、第二の心理機能が内向的知覚
TeSi TeNi FeSi FeNi
第一の心理機能が内向的判断で、第二の心理機能が外向的知覚
TiSe TiNe FiSe FiNe
第一の心理機能が外向的知覚で、第二の心理機能が内向的判断
SeTi SeFi NeTi NeFi
第一の心理機能が内的的知覚で、第二の心理機能が外向的判断
SiTe SiFe NiTe NiFe
しかし、Jungがタイプ論を記した当時、この16種類については考えなかったようです。
この態度は、妥当であったのかもしれません。 なぜなら、本当のところは、 8つの心理機能のうち残りの6つの心理機能がどのように続くのか明確な根拠とともに説明を与えることはできないのですから。
後に、この8つの心理機能を基にした、いくつかの性格タイプ論が派生することになりました。
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