MBTIでは、人にはそれぞれ得意・不得意の違いがあれど、心理機能(認知機能)が備わっていると説明しています。
心理機能は、認知機能と同じ意味です。一般に認知科学において、認知機能は「生物が対象の知識を得るために、外部の情報を能動的に収集し、それを知覚・記憶し、さらに推理・判断を加えて処理する機能」と定義されます。
主な認知機能 | |
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記憶力 | ものごとを忘れずに覚えておき、必要な時に取り出す力 |
計画力 | その場の状況に合わせて最適な計画を考え、準備し、行う力 |
注意力 | 大切なことや必要なことに気づいて入手し、意識を集中させ、持続する力 |
見当識 | 現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況を把握している力 |
空間認識力 | 物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が3次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する力 |
*上記の表は、認知機能の見える化プロジェクト『認知機能 – 概説 –』 より引用及び筆者改変した物です
かの有名な心理学者のユングは、著書「タイプ論(Psychological Types)*」において心理機能(認知機能)を4種類仮定しました。
*「タイプ論(Psychological Types)」は、日本語訳されているので、気になった方は以下のリンクより内容を確かめてみてはいかがでしょうか↓
その4つの心の働き(機能)には、[感情型(F型)、思考型(T型)]、[感覚型(S型)、直観型(N型)] があります。また、[感情型(F型)、思考型(T型)]を意思決定(判断)機能、[感覚型(S型)、直観型(N型)]を情報収集(知覚)機能と呼びます。以下それぞれ具体的に説明します。
臨床心理学用語事典「心理的機能(思考・感情・感覚・直観)」より引用開始(一部筆者改変)
灰皿を例にとった例え
思考、感情、感覚、直観の4つのタイプの物事の捉え方の説明として、「瀬戸物の灰皿をどう捉えるか」という例があります。それは以下のようなものです。
引用終了
人は、この機能を使って世界を認知し、物事に取り組みます。(MBTIでは、この心理機能の発達のバランスで、得意・不得意が決まり、性格タイプが16に分類されます)
また、ユングは、内向型(I)・外向型(E)という概念を初めて提唱した心理学者としても有名です。意識が外の世界か・自分の内面に向くかどうかということです。外向性と内向性の好みはしばしば態度*と呼ばれます。
*心理学の専門用語としての「態度」
→人間の行動の背景にある対象への感情や評価的な判断に基づいた心理的な傾向。
そして、4つの心理機能(認知機能)は、外向性(E)と内向性(I)と連動して機能します。つまり、さらに8つに分類することができます。たとえば、外向的な感情機能、つまり、外向的感情(Fe)と表現します。表で示すと以下のようになります↓
なぜ、人には心理機能(認知機能)が存在しているのか、みなさんは考えたことがありますか? 心理機能(認知機能)が人間の機能として備わっているということは、そこには何か合理的な理由(メリット)があるはずです。
この記事では、その理由について詳しく解説していきます。
なぜ、心理機能(認知機能)が存在するのか? その理由はズバリ、外向機能と内向機能は両者とも(!)「外界(外の世界)の脅威に対抗する」ためにあります。
*外向機能のみならず内向機能もそうであることを留意してください!
より詳しく説明すると、人間の心理機能( 内向機能及び外向機能=認知機能)が存在する理由は「脅威に満ちている外界と自分とのバランスをとり、世界と折り合いをつけ上手くやっていくため」です。
「外の世界と折り合いをつけるための判断材料=有益な真理」を探す機能として心理機能(認知機能)が選ばれることになります。「有益な真理」を選択する機能こそが心理機能(認知機能)なのです。
心理機能(認知機能)は「有益な真理そのもの」ではありません。繰り返しますが、 数ある「有益な真理」から、「状況に折り合いをつけたり打開することのできる真理」を探索・選択する機能こそが心理機能(認知機能) です。心理機能ごとに、どのような有益な真理を見出すのかについては、「各々が見出す有益な真理(心理機能)」をご覧ください。
ちなみに、心理機能とは「何かを認知する機能」を意味し、 認知機能と言い換えることが可能です。
そして、認知とは、「思考、経験、感覚を通じて知識と理解を獲得する精神的行動またはプロセス」です。
心理機能が存在する理由は、ご理解いただけたかと思います。次のページでは、さらに発展させ、8つある心理機能がそれぞれどのような「有益な真理」を見出すのか等、さらに詳しく解説していきます。
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