日本の株価(日経平均)がこのところ大きく上がってきており、ついに3万円を突破しました。日本人はあまり投資にお金を投じませんが、投じる人の理由の一つに「企業を応援したい」というものがあります。
これは一体どういうでしょうか? この記事では、株を買うことがどのように企業の応援になるのかを解説します。
株の仕組み
まず、仕組みを理解しなければどうしようもないので、仕組みを説明します。 まず、企業は株式を発行することにより、資金を調達しています。(図のプライマリーマーケット=発行市場)
脱・金融初心者! 二つの市場から理解する金融の見取り図 より引用
この際、株価(株の値段)が高ければ高いほど良いのは当然です。なぜなら、この時に調達(獲得)できた資金は返さなくて良いものだからです。よって基本的には高い株価がつくほうが望ましいものとなっています。
株式って何だ~「お金を集めてくる」というのが株式のお仕事 より引用
では、その株価がセカンダリーマーケット(=流通市場)で高くなったら、企業にとってどのような意味があるのでしょう?
結論から言うと、直接的な利益は「ありません」。
ここでマンガの産業を例にとり、より分かりやすく解説します。
以下のように例えてみましょう。
- 企業→作家
- 株 →本
- 1)プライマリーマーケット(=発行市場)での購入
↓
消費者がアマゾンや書店でマンガを購入→マンガ家に印税が入る
(=投資家が株をプライマリーマーケットで購入→企業にお金が入る)
- 2)セカンダリーマーケット(=流通市場)での購入
↓
消費者がブックオフ等の古本屋でマンガを購入→マンガ家に印税が入らない
(=投資家が株をプライマリーマーケットで購入→企業にお金が入らない)
このように2)セカンダリーマーケットでマンガ家(企業)にお金が入ることはありません。中古マンガの売り手やブックオフ(証券会社)にしかお金が入らないのです。
ちなみに、極端なことを言えば、
1)でマンガを購入された後に読まずに破って捨てられてもマンガ家にはどうでもよいことです。
(=企業がで株を発行して獲得した資金は、その後で株価が高くなろうが低くなろうが関係ありません)
つまり、企業に直接的な利益が「ない」ことがよくわかったのではないでしょうか?
株価が高いことのメリット
それでも、株価が高いことで良いこともあります。大人気マンガ「鬼滅の刃」を例にとります。それがブックオフ(中古屋)で高いことに何の意味があるのでしょうか?
2)セカンダリーマーケット(=流通市場)で株価が高い
↓
ブックオフ等の古本屋で「鬼滅の刃」の値段が高い
(=投資家の欲しい株がプライマリーマーケット高い)
超人気マンガの値段は中古でもなかなか下がりません。人気なのだから当然ですね。これを中古で買っても1円もマンガ家には入らないことは上述しましたが、高いとどんな意味があるのでしょうか?
実は、以下の流れがあります。
2)において
【鬼滅の刃の場合】
中古屋で「鬼滅の刃」が高い
↓
出版社(講談社など)から評価される
↓
次回もマンガを掲載・出版しやすくなる
↓
印税が入りやすくなる
【株の場合】
セカンダリーマーケットで株が高い
↓
次回も株を高い値段で発行しやすくなる
↓
多くのお金が入りやすくなる)
このため、株価は基本的に高いに越したことはないのです。そういう意味では、上場企業の株を買うことは間接的には買われた企業の応援になると言えるでしょう。(しかし、直接ではありません)
また、これ以外にも株価が高いと、
- 他の企業から買収されにくくなる
- 他の企業を買収しやすくなる
というメリットもあります。買収された企業は買い手の企業の指示を受け動かねばならず自由に経営することはできません。
今回は動物に例えてみます。
- 株価が高い=体が大きいライオン
- 株価が低い=体が小さいうさぎ
↓ - ウサギからライオンは食べられにくく(=他の企業から買収されにくくなる)
- ライオンはウサギを食べやすい(=他の企業を買収しやすくなる)
ということです。
こういう面でも間接的にメリットがあるとは言えるでしょう。
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