Ni(内向的直観)はMBTIの8つの心理機能の中でも、最もわかり辛い心理機能として知られています。 「複数の事象や現象、概念の共通性や関連性を捉え、ひとつの象徴的なイメージに集約し 、一見複雑に見える世界を前にしても、根源的な要素を捉え、深遠な理解に到達する」という説明を受けても、Ni(内向的直観)を最も得意とするINFJ(共感者タイプ)・INTJ(戦略家タイプ)以外の方にとっては、ピンとこないのも当然かもしれません。
今回はそんな分かりづらい Ni(内向的直観)を詳しく解説します。
未来を予測する心理機能
さっそくですが、質問です。下の図を見てください。
Q、「今→未来」へ自由に絵を継ぎ足してください。 どのように描いていきますか?
考えたあと下へスクロールしてください↓
Si(内向的感覚)が見据える未来
もしもあなたがSi(内向的感覚)の持ち主なら、以下のように書くかもしれません
↓
というのは、大雑把に述べるならばSi(内向的感覚)は「過去に起こったことを詳細に記憶する機能」だからです。つまり、Siの持ち主なら、未来に起こることは過去に起こったことの繰り返しだと考える傾向があるでしょう。
これを具体的なケースで考えてみましょう。日本とアメリカは過去に戦争を行い日本は負けてしまいました。「だから、もう一度戦争をするとまた日本はアメリカに負けるだろう、”あの時実際に戦って負けたのだから”」 このように考えるのがSiです。
Ni(内向的直観)が見据える未来
では、先ほどの絵に戻りましょう。Ni(内向的直観)を持つ人はそのように描かないことが多いのです。
下の図をご覧ください。過去から未来へ円が大きく拡大していますね(〇が□になっているのは便宜的にわかりやすくするためです)。
そうです、よく注目すると「過去から今までの円が少しづつ大きくなっている傾向=法則がある」のがわかります。「Niのある人はその”傾向=法則”をとらえ未来予測へ適用する」のです。ですから「Niを持つ人が未来を予見する力が大きい」というのに納得がいきますね。
Ni(内向的直観)を得意とする有名人
しかし、上記の説明だけでは、すぐにはNi(内向的直観)を理解・活用するのは難しいかと思います。そこで、Ni(内向的直観)を持っている有名人を紹介し、さらに具体的に解説していきます。
今回、ご紹介する有名人は以下になります↓
それでは、上記3人を詳しく解説していきます。
歴史の究極的な法則性を探求するユヴァル・ノア・ハラリ
ユヴァル・ノア・ハラリ(INFJ) の 現在の専門は世界史とマクロ・ヒストリーです。簡単に説明すると、歴史の究極的な法則性を探求し、長期的・巨視的な傾向を見いだそうとする学問であり、Ni(内向的直観)が絶対に必要になります。
彼が出版した書籍を例に出してみましょう。
なぜ人類だけが文明を手にしたのか?
アフリカで暮らしていた取るに足りない生物であったホモ・サピエンスは、
なぜ食物連鎖の頂点に立ち、文明を打ち立て、地球を支配するまでに至ったのだろうか?([過去→未来への法則]=Ni(内向的直観))ホモ・サピエンスの過去、現在、未来を俯瞰するかつてないスケールの大著([過去→未来への法則]=Ni(内向的直観))、ついに邦訳!
サピエンス全史の宣伝より引用及び改変
全世界1200万部突破の『サピエンス全史』の著者が描く、衝撃の未来!
我々は不死と幸福、神性を目指し、ホモ・デウス(神のヒト)へと自らをアップグレードする(=未来への発展・流れ・長期的ビジョン=Ni(内向的直観))とき、格差は想像を絶するものとなる。
35カ国以上で刊行され、600万部突破のベストセラー!
ホモデウスの宣伝より引用及び改変
このように、ハラリはNi(内向的直観)を用いることで、上記の2冊を書くことができました。具体的な内容を知りたい方は、ぜひご自身で買うことをおすすめします↓
永遠不変の真理を見出した経営者、松下幸之助
経営の神様と呼ばれる「松下幸之助」もNi(内向的直観)を多用しています。彼の考え方がよく分かるものを引用し、ご紹介いたします。
「PHPのことば」が発表され始めたころ、幸之助はこの世には永遠不変の真理が存在し、宇宙(自然)の秩序を形づくるその真理を見出していく(←まさにNi(内向的直観))ことで、人間は真の繁栄を享受することができると考えるようになります。そのためにも国民同士、お互いが衆知を集め、高めあい、生かしあい、生成発展し続ける。
『不変であってはならないもの――松下幸之助のことば〈98〉』より引用及び改変)
塾主・松下幸之助は、人間は万物の王者であり、宇宙の法則(=Ni)に従い、長久なる人間の使命(=Niで幸之助が導き出した必然的な未来)として、 生成発展を続け(=Niで幸之助が導き出した必然的な法則)、物心一如の繁栄を達成することだと述べる。
『人間とは何か~「調和ある生成発展」を世界に先駆けて~(塾生レポート) | 松下政経塾』より引用及び改変
生成発展(=Ni(内向的直観)を使い松下幸之助が見つけ出した真理)とは、日に新たにということであります。 古きものが滅び、新しきものが生まれるということであります。 これは自然の理法であって、生あるものが死にいたるのも、生成発展の姿であります。 これは万物流転の原則であり、進化の道程であります。
『基本理念|松下幸之助.com』より引用及び改変
未来のトレンドを予測する経営者、永守重信
経営者である「永守重信」も、以下の記事で紹介されているようにNi(内向的直観)をよく使用しています。
永守氏の原動力の1つは「未来予測力(まさにNi(内向的直観))」だ。まだ、日本のモーター業界が誰も見向きもしなかった1970年代後半にパソコンの普及を予測したり(Ni(内向的直観))、1995年からEV(電気自動車)化を見据えて車載事業に参入したり (Ni)と、次々と世界を左右するトレンドを察知 (Ni) しては、そこに全力投球してビジネスを打ち立ててきた。
『NEWS PICKS 日本電産・永守重信を待ち受ける「3つの課題」』より引用及び改変
筆者ナルキン・Narukin(@narukinhonda:Twitter、Facebook)の感想;つまり、Niで未来のトレンドを見据え、勝利してきたということ!
さらに「永守重信」のNi(内向的直観)へ迫るため、もうひとつ記事を引用いたします。今回の引用は少々長いです。
以下、https://forbesjapan.com/articles/detail/17312/2/1/1 より引用及び改変
永森:確かに、日立や東芝など大企業が競合する世界でした。でも、私は先生にこう言いました。「いま日本の家庭には一軒あたり平均3.5個のモーターしかありませんが、先日アメリカに行ったら、一家に平均60個のモーターがありました。いずれ日本もアメリカのようになります(=Ni)」と。
日本が急速に発展するという私の主張に対して、恩師は「いや、日本がアメリカの生活水準になるには100年かかる」と反論しました。しかし、当たっていませんね(笑)。いま日本の家庭には平均150個。アメリカが平均300個で、中国全土の平均が3.5個。中国はもっと増えていきます。(=Ni)だから、モーターが足りなくなるという危機意識があるのです。
Q、日本電産はPCのHDD(ハードディスク駆動装置)用の精密モーターを主力とした時代を経て、家電用の大型モーター、車載用モーター、多関節の産業用ロボットで基幹部品となる減速機など、積極的なM&A(合併・買収)で多角化してきました。産業の未来像が早くから見えていたということですか?
(ナルキン注;永守社長は未来が視える人としてビジネス界で有名)
永守:52社を買収して、すべて黒字化に成功しています。買収時は「なぜこの会社を買うのか?」とよく聞かれますが、先に全体像があり、買収でジグソーパズルのピースを1つずつ埋めていっているのです(=Ni)。ロボット、EV、自動車のADAS(先進運転支援システム)、ドローンなどの時代が来ると思ったとき、それらに使用される莫大な数のモーターを誰が供給するんだ、ということです。
以下、永守重信さんに関する記事ですので、参考にしてみてください↓
また、Ni(内向的直観)が強く表れている部分を抜き出したので、それも参考にしてみてください。
いま起きている従来型PCからタブレット型への移行が、後戻りのできない不可逆の変化だと見ているからだ。(→未来予測=Ni(内向的直観))
PRESIDENT『永守重信「発想の原点は“100年後にどうなっているか”」』
(中略)
どのようなビジネスも永遠に成長することはなく、いつか必ずピークアウトする。(→必然的な法則の抽出=Ni(内向的直観))
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