ダイエットしてもなかなか痩せらないという方は、GLP-1というホルモンが少ないのかも知れません。なんとGLP-1が多い人ほど太りにくい体質になるばかりか、食後の血糖値の上昇を抑えるなど様々な効果があることが明らかになっています。
この記事では、痩せホルモンと呼ばれるGLP-1の効果や特徴について解説します。
肥満対策で今注目されているGLP-1とは?
現代社会では、肥満は社会的な問題になっています。実際、30歳以上の男性の約3割、40歳以上の女性の約2割は肥満です。
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そこで肥満対策に注目されているのが、インクレチンの一種であるGLP-1というホルモンです。
「インクレチン」は食事をして糖などが吸収されると小腸から出てくるホルモンで、膵臓の β細胞に作用して「インスリン」の分泌を増やします。「インクレチン」には「GLP-1」と「GIP」というホルモンがあり、それぞれの働きで β細胞に作用します。
「GLP-1」は、血糖を上げるホルモンである「グルカゴン」の分泌を抑えたり、胃の動きを緩やかにすることで「食後の血糖上昇」を抑制します。
GLP-1はその多様な作用によって、2型糖尿病の治療薬として今までにない可能性を有するのではないかと注目されています。GLP-1には多彩な作用があり、膵臓への直接的な作用だけでなく、胃、脳、心血管、腎臓、免疫系、骨格筋、褐色脂肪組織、白色脂肪組織、肝臓、腸などの様々な臓器へも作用することが認められています。
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GLP-1の特徴
GLP-1はインクレチンというホルモンの一種です。
インクレチンは、食事をとると小腸から分泌される消化管ホルモンで、血糖値を安定させるインスリンの分泌を促します。そして、インクレチンには2種類あり、そのうちのひとつがGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)です。
※もうひとつはGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)です
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糖尿病サイト『GLP-1受容体作動薬に関するよくある質問』 より引用及び筆者改変
GLP-1は、食事をとると小腸にあるL細胞が刺激されて分泌されます。L細胞から分泌されたGLP-1は、血糖値が高いときのみβ細胞内からインスリンを分泌させます。血糖値が高いときのみに作用することを血糖値依存的と表現します。このことから2型糖尿病の治療薬として注目されています。
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糖尿病サイト『GLP-1受容体作動薬に関するよくある質問』 より引用及び筆者改変
GLP-1の代表的な効果
GLP-1は、血糖値が高いときに作用する特徴(血糖依存的)があり、ダイエットや2型糖尿病の治療薬として注目されています。GLP-1ダイエットでは、GLP-1を直接体に注射します。
GLP-1ダイエット注射(食欲抑制ホルモン注射とも呼ばれます)には、以下の効果があるため、無理せず自然にダイエットすることが可能になります。
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- インスリン分泌促進(血糖依存的)
- →インスリンは血糖値を下げる作用があります
- グルカゴン分泌抑制(血糖依存的)
- →グルカゴンは血糖値を上げる作用があります
- 胃の動きを抑える働き
- →ゆっくり消化され、血糖値が急激に上がるのを防ぎます
- 食欲抑制
- →脳の中枢作用に満腹感を感じさせます
- 免疫力の上昇
- 脂肪分解促進
- ナトリウム排泄増加
※GLP-1注射(GLP-1受容体作動薬)は、アメリカで2014年12月、ヨーロッパで2015年3月に肥満治療薬として承認として承認されています。しかし、日本では肥満治療としては未承認なため自費診療です(2型糖尿病の治療としては承認されています)
しかし、GLP-1注射は高価であり、自分の体の中でまずGLP-1の分泌を増やす方が痛くもなく簡単なのでおすすめです。
自分の体の中でGLP-1の分泌を増やすには、食物繊維が有効です。
GLP-1は高血糖を防ぎ、糖尿病治療に効果的
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GLP-1は、血糖値が高いときインスリン分泌を促進させ、グルカゴン分泌を抑制させるため、血糖値を下げる作用があります。
そのことは、以下のグラフからも明らかです。
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佐藤寿一クリニック『GLP-1RAによる早期糖尿病治療』 より引用及び筆者改変
GLP-1は低血糖のリスクが低い
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糖尿病治療でインスリンを投与すると、逆に低血糖になる危険性があります。しかし、GLP-1は血糖値が高いときだけ(血糖値依存的に)インスリン分泌を促すので、低血糖のリスクが少ないと認められています。
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