世界の他の文化と比較することで、その国独自の文化の深い推進力となっている要因を知ることができます。その国の文化はが社会の中心的な傾向を表しています。
例えば、個人の誰もが独自性を持っていますが、社会的統制により、ほとんどの人が規範(標準)から大きく外れることはありません。
権力格差指数(パワーディスタンス指数)
誰もが一人一人違う存在であるということは、人は皆、不平等であるということです。不平等の最も顕著な側面の1つは各人が他者の考えや行動に影響を与えることができる力の度合いです。
この次元は、社会のすべての個人が平等ではないという事実を扱い、私たちの間のこのような力の不平等に対する文化の態度を表しています。
パワー・ディスタンス(権力の距離)とは、ある国の機関や組織において力の弱いメンバーが、権力が不平等に配分されていることを受け入れるであろう度合いと定義されています。
スコア80点の中国は、権力格差指数の上位に位置しています。これは、人々の間の不平等が許容されると考える社会です。部下と上司の関係は二極化する傾向にあり、上司による権力乱用に対する防衛手段はありません。
個人は公的権威や制裁に影響されますが、一般的に人々のリーダーシップと主導権の能力については楽観的です。
また、人々は自分のランク(階級)を超えた願望を持つべきではないと考えられています。
個人主義指標(vs 集団主義)
この次元で扱われる基本的な問題は、社会がその構成員の間で維持している相互依存の度合いです。これは、人々の自己イメージが「私(I)」と「私たち(We)」のどちらで定義されるかに関係しています。
個人主義的な社会では、人々は自分と近親者(直径家族)だけを大切にすることになっています。集団主義の社会では、人々は忠誠心と引き換えに自分たちの面倒を見てくれる「グループ」に属しています。
スコア20点の中国は非常に集団主義的な文化で、人々は必ずしも自分の利益のためではなく、グループの利益のために行動します。
採用や昇進の際にはグループ内での配慮がなされ、親密なグループ(家族など)が優先的に扱われます。
従業員の組織への関わり合い具合(必ずしも組織内の人々へ関わり合いではない)はあまり熱心ではありません。
同僚との関係は、内集団(グループ内)では協力的だが、外集団(グループ外)では冷たく敵対的でさえあります。仕事や会社よりも個人的な関係が優先されます。
66歳の中国は男性的な社会で、成功を志向し、やる気に満ちています。
成功を是が非でも確実にしたがることは、多くの中国人が家族や余暇の優先順位を犠牲にしてまで仕事をするという事実に象徴されています。
サービス業の人々(美容師など)は、夜遅くまでサービスを提供します。余暇はそれほど重要ではありません。
移住してきた農民労働者は、都市でより良い仕事と給料を得るために、家族を遠くの地に残していきます。
もう1つの例は、中国の学生は試験の点数や順位を非常に気にしているということです。なぜなら、これが成功するかどうかの主な基準だからです。
不確実性回避指標
不確実性回避とは、未来は決して知ることができないという事実を社会がどう扱うかに関係しています。
未来をコントロールしようとするのか、それともただ成り行きに任せるのか。未来がわからないという曖昧さは不安につながり、その不安に対処する方法は文化によって異なります。
曖昧な状況や未知の状況に脅威を感じたとき、文化の構成員がそれを回避するため信念や制度を作ってきた度合いが、「不確実性回避指標」のスコアに反映されています。
中国は「不確実性回避」のスコアが30と低いです。真実は相対的なものかもしれませんが、身近な社会では真実への関心があり、規則(必ずしも法律ではない)が溢れています。とはいえ、法律や規則の遵守は、実際の状況に合わせて柔軟に対応することができ、実用主義が現状です。
長期志向指標(vs 短期志向指標)
この次元では、すべての社会が、現在と未来の課題に取り組みつつも、自らの過去との(何らか)のつながりを維持しなければならないことを説明しています。社会によってこれら2つの実存的な目標の優先順位は異なっています。
例えば、この次元のスコアが低い規範的な社会は、社会の変化を疑いの目でみながら、昔ながらの伝統や規範を維持することを好みます。
一方、スコアが高い文化圏では、より現実的なアプローチをとっています。将来に備え倹約を奨励し、近代的な教育を重視します。
中国はこの次元で87点を獲得しており、非常に実利的(現実主義的)な文化であることを意味しています。
現実主義的な社会では、人々は真実は状況、文脈、時代に大きく左右されると信じています。変化した状況に伝統を容易に適応させる能力があり、貯蓄や投資をする傾向が強く、倹約家であり、結果を出すための忍耐力があります。
放縦(充足的、放任的、気まま)指標(vs 抑制)
今も昔も、人類が直面している課題の一つは、幼い子供たちがどの程度社会化されているかということです。社会化がなければ私たちは「人間」にはなれません。
この次元は、人が育った環境に基づいて、自分の欲望や衝動をコントロールしようとする度合いとして定義されます。
衝動を比較的弱くコントロールしようとする傾向を 「 放縦(充足的、放任的、気まま) 」 と呼び、衝動を比較的強くコントロールしようとする傾向を 「 抑制的」 と呼びます。このように、文化は「放縦的」と「抑制的」に分類されます。
この次元のスコアが低い社会は、シニシズム(冷笑主義)やペシミズム(悲観主義)の傾向があります。
また、「放縦主義(放任的)」の社会とは対照的に、「抑制主義」の社会では、余暇をあまり重視せず、欲望の充足をコントロールします。この指向性を持つ人々は、自分の行動が社会的規範によって制限されているという認識を持ち、自分を甘やかすことはどこか間違っていると感じています。
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