外的的感情(Fe)と内向的感情(Fi)はともに、判断や意思決定に関わる心理機能で、どう感じるかをもとに価値観や倫理観を形成します。 人の心や人に対する影響に配慮する点で共通しています。 しかし、注意を向ける方向が異なるために、相反する点もあります。 このため、外向的感情を用いるタイプは、内向的感情の働きを抑圧したり、反感を覚えることがあります。 同様に、内向的感情を用いるタイプは、外向的感情の働きを抑圧したり、反感を覚えることがあります。
外向的感情は、人間関係に基礎を置きます。 他者のことをよく気遣うことができ、親密な関係を大切にします。 感情表現が豊かで、コミュニケーション能力に優れ、多くの人間と仲良くなることができます。 人間関係の調和を大切にし、礼儀や社会的規範を身につけます。また、他の人にもそうあって欲しいと考えます。 他者との感情共有を優先するので、個人の信条や感情が自然と抑えられます。 このため、話の非論理性や自分の感情になかなか気がつかないときがあります。 他者なくして自分はなく、むやみやたらと我に固執することは望みません。 一方、自分の判断や行動へのフィードバックがなくなると、自分を見失ったような不安に襲われることがあります。 逆に、他者から賞賛されることは非常に名誉なことであり、励みになります。 社会の中で価値観を形成し、あらゆる人たちが各々の長所を最大限に発揮できるようにしたいと考えるようになります。 外向的感情が強いタイプは、とても親しみやすく無私で愛にあふれた人格を持つに至ります。
内向的感情は、自己の内面における調和に基礎を置きます。 自己欺瞞や驕慢さに気がつくことができ、 それを取り除きたいと考えますが、 それは誰にとっても容易なことではありません。 自分が感じていることによく気がついており、価値観や倫理観が継続的に育ってゆきます。 愛着を感じている家族や友人に対しては愛情を持って接し、大切にしようとします。 人の助けになることが何よりも大切になります。 そうすることによって得られる内的調和に気がついているからです。 特に、虐げられている人々に関心を抱き、 社会的弱者に対する心ない仕打ちに心を痛めるか、もしくは嫌悪感を感じます。 自分の感情や価値観の形成のために一人で長い時間を過ごすことができるのが特徴です。 内的調和は理論的に説明できるものではなく、むしろ自己の利益に反することさえ要求しますが、 自然によって人間に与えられたものであると感じ、なるべくそれに従おうとします。 自己の利他的な信条にこだわります。 懐疑的で自己反省を繰り返し、理想が高くなります。 他者からの高い評価を喜ぶことがあるかもしれませんが、それは必要条件でも十分条件でもないと考えます。 結局、大切なのは自分の掲げる基準に達したかどうかなのです。 そして、その基準が非現実的なほど高く掲げられることがよくあるので、その結果、失望することになります。 自己の内面に注意が向きすぎるあまり、多くの人間と素早く親密な関係を築くことが自然と苦手になっています。 内面で痛切に感じている悲嘆とか燃えるような意欲などといったその人の中核となる感情はなかなか表現されません。 感情を読み取ることが難しく、表情がこわばっていることもよくあります。 また、懐疑的で本物だけを深く追求しようとするので、 礼儀や社会的規範を表面上のものと見なして無視したり、ときに嫌悪することさえあります。 さらに、あまりにも馴れ馴れしい態度や、人の関心を引きつけようとする大げさな話に違和感を感じます。
以上のように、外向的感情と内向的感情は類似点もあれば、相反する点もあります。 しかし、外向的感情の強いタイプは、内向的感情の強いタイプから本物を求めようとする態度に共感し 影響を受けます。しかし、彼らの長いこと一人で考え、あまり自己開示的ではない態度に不満を感じることがあるでしょう。 一方、内向的感情の強いタイプは、外向的感情の強いタイプから、熱心な語りかけや、礼儀に込められた真心に心打たれる ことがあります。 しかし、彼らが多くの人を迎え入れ過ぎることと、誇張されたコミュニケーション態度に不満を感じることがあります。
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