世界の他の文化と比較することで、その国独自の文化の深い推進力となっている要因を知ることができます。その国の文化はが社会の中心的な傾向を表しています。
例えば、個人の誰もが独自性を持っていますが、社会的統制により、ほとんどの人が規範(標準)から大きく外れることはありません。
権力格差指数(パワーディスタンス指数)
誰もが一人一人違う存在であるということは、人は皆、不平等であるということです。不平等の最も顕著な側面の1つは各人が他者の考えや行動に影響を与えることができる力の度合いです。
この次元は、社会のすべての個人が平等ではないという事実を扱い、私たちの間のこのような力の不平等に対する文化の態度を表しています。
パワー・ディスタンス(権力の距離)とは、ある国の機関や組織において力の弱いメンバーが、権力が不平等に配分されていることを受け入れるであろう度合いと定義されています。
93点のロシアは、権力者が社会的に非常に(庶民から)遠い国です。
このことは、世界最大の国であるロシアが非常に中央集権化されているという事実によって強調されています。ロシア国内えの外国投資の2/3と金融産業の80%ががモスクワに集中しています。
力のない人と力のある人の間に大きな差があるため、ステータスシンボルが非常に重要になっています。
行動は、訪問、交渉、協力など、ビジネス上のあらゆる分野で地位の役割を反映しながら、表現しなければなりません。アプローチはトップダウンで、あらゆるタスクに対して明確な命令を与えなければなりません。
個人主義指標(vs 集団主義)
この次元で扱われる基本的な問題は、社会がその構成員の間で維持している相互依存の度合いです。これは、人々の自己イメージが「私(I)」と「私たち(We)」のどちらで定義されるかに関係しています。
個人主義的な社会では、人々は自分と近親者(直径家族)だけを大切にすることになっています。集団主義の社会では、人々は忠誠心と引き換えに自分たちの面倒を見てくれる「グループ」に属しています。
ロシア人が友達と出かけるなら、「I and my friends(私と私の友達)」ではなく、文字通り「We with friends(私たちは友達と)」と言うでしょうし、兄弟姉妹の話をするなら、いとこ同士の話になるかもしれません。39という低いスコアは言語でも表現されています。
日常生活を送る上で、家族や友人、そして時には近所付き合いも非常に重要です。人間関係は、情報を得たり、紹介してもらったり、交渉を成功させたりするのに極めて重要です。
仕事に集中するためには、個人的な信頼関係が必要であり、暗黙的なコミュニケーションスタイルではなく、相手に配慮したコミュニケーションを構築する必要があります。
ロシアの36という比較的低いスコアは、ステータスシンボルを好むという点では驚くべきことかもしれませんが、ロシアではこれらは権力格差(パワーディスタンス)の高さと関係しています。
一見すると、ロシア人は職場でも見知らぬ人と会うときでも、自分の功績や貢献度、能力を控えめに語っていることがわかります。
彼らは自分のことを控えめに話し、科学者、研究者、医師はほとんどの場合、非常に控えめな生活水準で生活することが求められます。支配的な振る舞いは、上司からであれば受け入れられるかもしれませんが、同僚の間では評価されません。
不確実性回避指標
不確実性回避とは、未来は決して知ることができないという事実を社会がどう扱うかに関係しています。
未来をコントロールしようとするのか、それともただ成り行きに任せるのか。未来がわからないという曖昧さは不安につながり、その不安に対処する方法は文化によって異なります。
曖昧な状況や未知の状況に脅威を感じたとき、文化の構成員がそれを回避するため信念や制度を作ってきた度合いが、「不確実性回避指標」のスコアに反映されています。
スコア95点のロシア人は、世界で最も複雑な官僚制度の一つを確立していることもあり、曖昧な状況に非常に危機感を持っています。
例えば、交渉が始まったばかりで関係構築に重点を置いている場合などはプレゼンテーションは準備されていないませんが、そうでないときは非常に詳細に準備されている場合があります。詳細な計画や説明も非常によく行われます。
ロシア人は文脈(コンテキスト)や背景(バックグラウンド)の情報を好むのです。ロシア人は、よく知らない人と交流する限り、非常に堅苦しくよそよそしい印象を与えます。同時に、フォーマルさは敬意の表れでもあります。
長期志向指標(vs 短期志向指標)
この次元では、すべての社会が、現在と未来の課題に取り組みつつも、自らの過去との(何らか)のつながりを維持しなければならないことを説明しています。社会によってこれら2つの実存的な目標の優先順位は異なっています。
例えば、この次元のスコアが低い規範的な社会は、社会の変化を疑いの目でみながら、昔ながらの伝統や規範を維持することを好みます。
一方、スコアが高い文化圏では、より現実的なアプローチをとっています。将来に備え倹約を奨励し、近代的な教育を重視します。
81という非常に高いスコアを獲得したロシアは、間違いなく現実主義的な考え方を持つ国です。実利的な志向を持つ社会では、人々は真実は状況、文脈、時間に大きく左右されると信じています。それらは、変化する状況に伝統を容易に適応させる能力、貯蓄や投資への強い傾向、倹約家、結果を出すための忍耐力を示しています。
放縦(充足的、放任的、気まま)指標(vs 抑制)
今も昔も、人類が直面している課題の一つは、幼い子供たちがどの程度社会化されているかということです。社会化がなければ私たちは「人間」にはなれません。
この次元は、人が育った環境に基づいて、自分の欲望や衝動をコントロールしようとする度合いとして定義されます。
衝動を比較的弱くコントロールしようとする傾向を 「 放縦(充足的、放任的、気まま) 」 と呼び、衝動を比較的強くコントロールしようとする傾向を 「 抑制的」 と呼びます。このように、文化は「放縦的」と「抑制的」に分類されます。
ロシア文化の抑制的な性質は、この次元での20という非常に低いスコアからもよくわかります。この次元のスコアが低い社会は、冷笑主義(シニシズム)や悲観主義(ペシミズム)の傾向があります。
また、「放縦主義(放任的)」の社会とは対照的に、「抑制主義」の社会では、余暇をあまり重視せず、欲求を満たすことをよりコントロールしようとします。
この指向性を持つ人々は、自分の行動が社会的規範によって制限されているという認識を持ち、自分を甘やかすことはどこか間違っていると感じています。
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