MBTI(エムビーティーアイ : Myers-Briggs Type Indicator)は、とても良く当たる性格診断テストで知られていますが、人にはそれぞれ得意な(よく使っている)心理機能(認知機能)があると考えられています。そのうちの1つが「外向的感覚(Se)」で、この機能が強い人は、行動的で五感が鋭いです。
下の図で表されているように、外向的感覚(Se) は現在に焦点を当てる心理機能で、現在の状況を素早く把握し、チャンスを逃しません。
外向的感覚(Se)が強いタイプは、ESFP(楽天家タイプ), ESTP(冒険家タイプ), ISFP(芸術家タイプ), ISTP(実務家タイプ)といったSPタイプです。
↓自分の性格タイプを知ってみたい方はこちら↓
MBTIについてまだ、知らないという方は、以下の記事↓を参考にしてください。
また、事前に4つの心理傾向軸↓についても知っておくことで、より心理機能(認知機能)を理解することができます。
https://narukinhonda.com/narushinrigaku/mbti/4prefer.html
外向的感覚(Se)とは
あなたが今この瞬間を生きているとき、あなたの周りで起こっていることのどんな細かなことも見逃さず、あなたの五感のすべてを使いこなすとき、あなたはSeの機能を使っているのです。外向的感覚(Se)は、自分自身で何かの真実を判断するために、きちんと検証可能な情報を求める人々に好んで使われます。
外向的感覚(Se)が優位な人は、幼い頃から感覚を処理する能力に長けています。大量の感覚的なデータを処理するだけでなく、他の人が見逃しているニュアンスも見たり、味わったり、嗅いだり、感じたり、聞いたりすることができます。例えば、このタイプの人は、並外れたシェフ、アーティスト、パフォーマーであることがよくあります。味や色、音符、体の動きなど、さまざまな繊細で細かいニュアンスを感じ取ることができるのです。
外向的感覚(Se)が優位な人には、高い運動感覚と強力な身体的号能力があります。楽器や運動器具、武器、乗り物などの道具を、あたかも自分の身体の延長線上にあるかのように、あっという間に自分の身体へ対応させることも珍しくありません。
外向的感覚(Se)が優位な人の典型的な人物像
10代でスノーボードを始め、危険で複雑な動きも難なくこなし、楽器はほとんど習ったことがないにもかかわらず、いくつも演奏できる。30代後半の現在、パワフルに鍛え上げられ、フィットネストレーナーとして1日何時間もジムに通っている。
外向的感覚(Se)使用時の脳波形 – 外向感覚処理過程(センセーション・プロセス)
ダリオ・ナルディ(作家、講演家、神経科学とパーソナリティの専門家)の研究によると、外向的感覚(Se)が発達している人を脳波計で観察すると、”テニス・ホップ “と呼ばれる「外向感覚処理過程(センセーション・プロセス)」特有の現象が見られるといいます。テニスプレーヤーがテニスボールの軌道を予測して次々と足を動かすように、「外向感覚処理過程(センセーション・プロセス)」をよく使用する人は、常に行動の必要性に注目しているのです。すぐに対処できる問題には、必要以上にややこしく考える必要はそもそもなく行動あるのみです。外向的感覚(Se)が発達している人は、このような予感をきっかけに行動を起こすことがよくあります。もし起こせそうなアクションがなさそうなら、「外向感覚処理過程(センセーション・プロセス)」は不満を感じ、興味を失うかもしれません。この機能が第一機能の人は、芸能人やアスリートにも多くいます。
外向的感覚(Se)が第一機能のタイプで、脳が活性化している部位↓
外向的感覚(Se)の詳細
『mbti性格タイプ論の視点から世界を覗こう』(サイト消滅)より引用開始(一部改変)
自分の身体や他人、そして外界にある物をありのままに詳細に受け取ります。 私たちは、眼、耳、鼻、舌、肌のそれぞれの感覚器官を通して、 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を得ることができ、外部の情報を受け取ります。 本能的で現実的な心理機能です。 身の回りにある物の様々な色、質感や音、美しい造形など、五感で捉えられるあらゆることに敏感です。 自由を求め、それを享受したいと感じます。 身体的なスリルや新しい刺激、そして物質的な心地よさを求めます。
キーワード
本能、五感、現実的、敏感、繊細、刺激を求める、好奇心、リスクを取る、自由を求める、開放感、物理的環境、変化、 詳細、気づく、今この時、この瞬間、スリル、機会を逃さない、タイミング、物質的利益、浪費、乗り物、道具、 気概、行動、俊敏、素早さ、詳細を認識、観察、経験、体験、実演、衝動、手作業、肉体労働、魅せる、見せびらかす、没頭
外向的感覚が第一心理機能であるタイプは、ESFP(楽天家タイプ), ESTP(冒険家タイプ)です。
外向的感覚が第二心理機能であるタイプは、ISFP(芸術家タイプ), ISTP(実務家タイプ)です。
外向的感覚が発達しているタイプは、この外部からの情報を事細かに受け取ることに馴染んでいます。 瞬間瞬間の周囲の状況その変化、そして外部からの刺激を機敏に察知することができます。
観察対象の変化によく気がつくため、行動に出るタイミングを適切に計ることができます。
今このとき、この瞬間を強烈に体験することができるので、行動によって即時に起こる変化に興味が沸きます。
外部から素早く出来るだけ多くの情報をキャッチしようとします。 そのため、いろいろな方へ注意を向け、よく動き回ります。
距離感や、行動の影響が及ぶ物理的な範囲などをしっかりと把握することができるので、 スキー、スケート、車、バイク、飛行機などが好きです。 また、同様の理由でスピード感のあるスポーツを好みスリルに満ちた体験を楽しみます。
実際に、このタイプは五感によって察知した情報をもとに自然と体を動かすことができ、 身体能力が発達していることが多く、運動や手を使った作業が得意であることがよくあります。
身体によって感じ取られる物理的環境との一体感と完全な没頭によってもたらされる感覚(sensation) こそ、このタイプが求めていることなのです。
瞬間瞬間で外部から与えられる刺激や情報を見逃すことなく捉えようとします。 いつでも、状況に応じて素早く対応することが大切だと考えます。 今現在に意識を集中させ、どんなことも最初で最後のチャンスと考え逃すことがないように心がけます。
実際にそうすることで困難な現状を乗り越えてゆきます。 緊急事態に際しては、驚くほど柔軟に対応することができます。
考えが足りず失敗することもありますが、 いつでも現在に集中し、行動を繰り返すので、いつのまにか障害を乗り越え、 大きく前進して成功をつかみ取ります。
何よりも行動をすることが大切です。 よく観察し真似ることで学習効率が良くなります。 体験することによって、はじめて多くの刺激を受けることができ、楽しみながら学ぶことができるのです。
こういった理由から現実的で実用的なことに興味が沸きます。 いろいろな道具の利用法を覚え、遊んだり、物を直したりします。 一方、抽象的な理論の学習にはすぐに飽きてしまう傾向があります。
このタイプは、思考や感情が外向的感覚の心理機能によって表現されることがよくあります。 その場合は、言葉ではなく、行動によって表現されます。
言葉で表現されないとはっきり伝わらないタイプにとってはお互いにフラストレーションを感じてしまうことになるので この点をよく理解するとよいでしょう。
楽しいことが好きで、食事、スポーツ、家事、ドライブ、娯楽などを一緒に楽しむことで親密さを感じます。
外部の物理的な様子や刺激に敏感なので、美味しい食事、珍しい風景、美しい調度品などに魅力を感じます。 また、美しい、もしくは、たくましい身体に憧れを感じ、それを獲得したいと望みます。
このタイプの瞬間瞬間を一生懸命生きよく動きまわり働くことができることは美点ですが、 高価な趣味で浪費し散財する傾向があります。 身体の刺激を強く求める傾向が強すぎると、過度な刺激を求めたり、身体を甘やかす誘惑に乗りやすくなってしまいます。
『mbti性格タイプ論の視点から世界を覗こう』(サイト消滅)より引用終了(一部改変)
ビッグファイブと外向的感覚(Se)
ビッグファイブとは、世界で最も信憑性のある性格分析と言われており、アメリカの心理学者であり、オレゴン大学の名誉教授であるルイス・R・ゴールドバーグが提唱しました。ビッグファイブはその名のとおり、その人の個性(性格)を5つの因子によって分類します。
ビッグファイブの5つの性格特性(因子)の解説書←タップ
- 神経症傾向:落ち込みやすいなど感情面・情緒面で不安定な傾向。ネガティブな気分になりやすい。
- MBTIとの関係:MBTIではこの因子は測定されない
- 高得点:ストレスを受けやすい、衝動的・心配性である。 キーワード:不安、イライラ、うつ、自尊心が低い
- 低得点:ストレスに強く、情緒的に安定している
この性質(高得点のとき)の…- プラス面:警戒、努力できる
- マイナス面:不安、うつになりやすい
- 生物学的メカニズム:脅威への反応(扁桃および大脳辺緑系、セロトニン)
- 外向性(E):自分の関心や勢力が他人や物に向けられる。ポジティブな気分になりやすい。
- MBTIとの関係:高得点だと外向型(E型)、低得点だと内向型(I型)
- 高得点(外向的/E):社交的で物事に熱中する。 キーワード:積極的、社交的、活動的、冒険好き、明るい
- 低得点(内向的/I):よそよそしく物静かである
この性質(高得点のとき)の…- プラス面:報酬を求め手に入れる意欲が高くチャレンジできる
- マイナス面:自らを危険に晒すことが多い。安定した関係を築きづらい
- 生物学的メカニズム:報酬への反応(中脳ドーパミン報酬システム)
- 開放性(N):文化的、美的、知的な新たな経験の受け入れやすさ。心が開かれている
- MBTIとの関係:高得点だと直観型(N型)、低得点だと感覚型(S型)
- 高得点(直観/N):独創性・創造性に富んでいる、一風変わっている。美しいもの、知的なものに触れてみたい、探求・体験してみたい。 キーワード:好奇心、想像力、審美眼、幅広い興味
- 低得点(感覚/S):現実的に考える、伝統にこだわる
この性質(高得点のとき)の…- プラス面:芸術的感受性が高く、拡散的思考ができる
- マイナス面:異常な信念を持ちやすく、精神病傾向がある
- 生物学的メカニズム:心の連想の広がり
- 協調性(F):自分のことではなく人のことを思って行動できる
- MBTIとの関係:高得点だと感情型(F型)、低得点だと思考型(T型)
- 高得点(感情/F):人を信頼しやすく、共感性が高い。 キーワード:思いやりがあり相手を信頼する寛大さ、利他主義、優しさ、従順さ、慎み深さ
- 低得点(思考/T):非協力的で、敵対心が強い
この性質(高得点のとき)の…- プラス面:人間関係を潤滑にできたり社会全体が安定する
- マイナス面:(相手に配慮しすぎて)自分の利益や取り分が減る
- 生物学的メカニズム:他者への配慮(心の理論、共感要素)
- 誠実性(判断機能が強い*):目標に向かい計画を立て、自分を律しながら、諦めずに責任感を持ちつつ勤勉に努力できる
- MBTIとの関係:高得点だと判断機能が強い、低得点だと知覚機能が強い
- 高得点(判断機能が強い):有能で自己管理ができる。 キーワード:自己規律、粘り強さ、熟慮、忍耐、根性、熟慮、達成努力
- 低得点(知覚機能が強い):不注意が多く衝動的である。
この性質(高得点のとき)の…- プラス面:計画を立て、それに沿って自分を規律でき、目的を達成しやすい
- マイナス面:その場その場の状況に応じて臨機応変に行動できず融通が効かない
- 生物学的メカニズム:反応抑制(背外側前頭皮質)
*判断機能が強いとは第一機能が思考型(T型)または感情型(F型)、知覚機能が強いとは第一機能が直観型(N型)または感覚型(S型)ということである。
ビッグファイブと16タイプ性格診断(MBTI)の各心理機能の関係性は調査されており、以下の表がその相関です。各心理機能がどの性格特性とその下位特性(ファセット)と相関があるのか照らし合わせてみるとそれぞれの心理機能の傾向がより詳しくわかるでしょう。
外向的感覚(Se)は、外向(E)・感覚(S)・知覚(N or S)の3つの属性を持っており、それぞれの属性に対応するビックファイブの因子(性格特性)は以下です↓
以下は、下位特性ごとの高得点・低得点の特徴一覧です↓
ビッグファイブの5つの性格特性(因子)の下位特性一覧表←タップ
神経症傾向↓
低 | 高 | |||
説明 | 言葉 | 下位特性 | 言葉 | 説明 |
あまり怒ることはない。 | 温和 | 怒り | 激情的 | 特に物事が思ったように進まないときに、 激しく感情が高ぶる。 |
穏やかで自信がある傾向がある。 | 自信がある | 不安 | 心配性 | 起こるかもしれないことを いろいろ心配しがちである。 |
自分に大体満足している。 | 満足 | 憂うつ | 悲観的 | おもしろくないことを頻繁に考える。 |
欲望は特に強くなく、 欲望を制御できる。 | 自制心がある | 利己的 | 快楽主義 | 欲望を強く感じ、欲望に誘惑されやすい。 |
当惑することはほとんどなく、 大抵の場合は自信にあふれている。 | 自信に満ちた | 自意識過剰 | 自己を意識する | 人が自分をどう思うかに敏感である。 |
予期しないことにも落ち着いて効果的に対処する。 | プレッシャーに強い | 傷つきやすい | 低ストレス耐性 | ストレスの多い状況に負けやすい。 |
外向性↓
低 | 高 | |||
説明 | 言葉 | 下位特性 | 言葉 | 説明 |
ゆったりしたペースの生活が好き。 | のんびり | 活発度 | 精力的 | スケジュールに予定が多く埋まっていて忙しい状態を好む。 |
特にグループの中では、 話すより聞くほうが好き。 | 控えめ | 自己主張 | 強い自己主張 | 意見をはっきり述べ、場を支配する。 グループを先導することに満足を覚える。 |
いつも真面目で、冗談をあまり言わない。 | 険しい | 明朗性 | 陽気 | 楽しい人で、その楽しさを人と分かち合う。 |
静かで、穏やかで、安全なことを好む。 | 平穏を求める | 刺激希求性 | 刺激を求める | リスクを負うことに興奮を覚え、 いろいろ起こらないと退屈に感じる。 |
内向的で、人と打ち解けない。 | 遠慮がち | 親しみやすさ | 外向性 | すぐに友達ができ、人といると満足する。 |
自分に時間を使いたいと強く思う。 | 独立心が強い | 社交性 | 付き合い上手 | 人と一緒にいることを楽しむ。 |
開放性↓
低 | 高 | |||
説明 | 言葉 | 下位特性 | 言葉 | 説明 |
よく知っているルーチンを快適に感じ、 そこからの逸脱を好まない。 | 着実 | 冒険 | 冒険的 | 新しい経験を熱望している。 |
ほとんどの人に比べて芸術的活動や 創造的活動への興味が薄い。 | 芸術に無関心 | 芸術的興味 | 芸術の鑑賞眼がある | 美しいものが好きで、 創造的経験を求めている。 |
自分の感情について考えたり、 感情を表に出すことがほとんどない。 | 冷静 | 情動性 | 感情に自覚的 | 自分の感情を自覚していて、 感情の表し方を知っている。 |
想像よりも事実を優先する。 | 地に足の着いた | 想像力 | 空想的 | 豊かな想像力を持っている。 |
世界をそのまま捉えることを好み、 抽象的な考えをすることはめったにない。 | 具象 | 知性 | 哲学的 | 新しい考えに対してオープンであり、 興味があり、もっと知りたいと望む。 |
伝統に従って安定を 維持することを好む。 | 権力を尊重 | 自由主義 | 権力に対して挑戦的 | 権力や伝統的価値に挑戦して 変化をもたらしたいと思っている。 |
協調性↓
低 | 高 | |||
説明 | 言葉 | 下位特性 | 言葉 | 説明 |
人のために時間を使うより、自分のことをしたい。 | 自己中心的 | 利他主義 | 利他的 | 人を助けることで充実感を味わい、 人のために尽くす。 |
人への反論を避けない。 | 強情 | 協調性 | 寛容 | 進んで対立を避けようとする。 |
自己を敬愛し、自分に満足している。 | 高慢 | 謙虚さ | 慎み深い | 注目されると落ち着かない。 |
目的のためにはあらゆる手段を使う。 | 不義・不道徳 | 道徳性 | 不屈 | 出世のために人を利用するのは正しくないと考える。 |
人は、一般的に他人に依存するのではなく、 自分自身でなすべきだと考える。 | 冷酷 | 共感性 | 親身 | 人の気持ちを感じ、思いやりがある。 |
人の意図を警戒し、簡単には信用しない。 | 人を警戒する | 信用性 | 人を信じる | 人の善意を信じ、簡単に人を信用する。 |
誠実性↓
低 | 高 | |||
説明 | 言葉 | 下位特性 | 言葉 | 説明 |
自分の達成したレベルに満足しており、 野心的な目標を設定する必要を感じない。 | 満足 | 達成努力 | 意欲的 | 自分に高い目標を設定し、 その達成のために 真剣に取り組む。 |
決断に慎重で時間を費やすより、 すぐに実行する。 | 大胆 | 注意深さ | 慎重 | 決断する前に注意深く考え抜く。 |
規則や義務は無視して、やりたいことをやる。 | 気楽 | 忠実さ | 従順 | 規則や義務が不都合であってもまじめに守る。 |
日常生活で組織のために時間を多く取らない。 | 非組織的 | 秩序性 | 組織的 | 生活の中で組織構造の必要性を強く感じる。 |
長期間、むずかしいことを続けられない。 | 中断 | 自制力 | 持続 | きついことにも立ち向かってあきらめない。 |
自分の目標達成能力を疑うことが多い。 | 自信がない | 自己効力感 | 自信がある | 取り組んだことには成功できると感じる。 |
外向的感覚(Se)は、臨機応変で瞬時に現在の物事・出来事を把握し、行動します。外の環境や人の心の機微に聡く、創造性よりも地に足がついた考え方をするタイプです。
ビッグファイブの開放性の値が低いことは未知の事柄には消極的で、世界をありのままに捉えることなどを意味し、誠実性の値が低いことは自分を律するのが苦手でやりたいことを優先し、すぐに行動に移すことなどを意味します。これは外向的感覚(Se)の特徴と一致していることが分かります。
心理機能(認知機能)の関連記事↓
心理機能(認知機能)の解説集
- 心理機能の比較
- その他
コメント